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松宮園生です。
(前回のあらすじ)
アメリカ西海岸の不思議な農場に迷い込んだ松宮園生。
麦わら帽子をかぶったイタリア系のニイチャン。
そのニイチャンの指差す先には「懐かしい匂い」を発するトラクターが…。
いったい何の匂いだったのでしょうか?
◆◆◆
ニイチャンがいいました。
「アンタ日本人デスカ? ダッタラコノ匂イ、分カルネ」
よーく、分かりました。
それは、テンプラ油の匂いでした。
デンプラ油で走るトラクターだったのです。
もとは普通のトラクターだったのを、ニイチャンがテンプラ油仕様に改造してしまったとのこと。
近所に日本食店がたくさんあるそうです。
使用済みのテンプラ油をタダでもらって、トラクターを走らせているそうで、
お金は浮くし、使用済みテンプラ油の有効利用ができて環境にもよいし、
と、自慢するニイチャンでした。
農園ツアーは30分くらいで終わりました。
ニイチャンはというと、次のツアー客が順番を待っていたらしく、お別れの挨拶もそこそこにさっさとそっちに行ってしまいました。
どうやら農作業そっちのけで、ツアーガイドをしているようです。
大丈夫かな。
ところで、この農場は「CSA」と呼ばれる種類の農園でした。
CSA とは、
Community-Supported Agriculture
(コミュニティ・サポーテッド・アグリカルチャー)
の略で、日本語に訳すと
「コミュニティに支持されている農業」
といった感じです。そのままやんけ。
地域(コミュニティ)のまんなかに農園があり、たいてい有機農業をしています。
コミュニティの人々はその農園に「会費」を払い、それが農園の収入になります。
「会費」を払った人々は、農園から作物を平等にもらいます。
これが CSA です。
農園にとっては、地域の人たちから安定して「会費」がもらえるところがありがたい。
地域の人々にとっては、地元の農園の作物を食べられるのが楽しみ。
その年、その年で天候なども違うので、作物のできばえ(量・質とも)は一定ではありませんが、そのリスクはコミュニティ全体で負っています。
おかげで農園は安心して農業に集中できます。
こういう CSA は、北米に 1,000箇所くらいあるそうです。
僕が迷い込んだ農園は100年前から有機農業をしていました。
100年前は付近はただっぴろい荒野で人口も少なかったそうですが、その後、急激に人口が増えました。
人口が増えてにぎやかになったのはよいのですが、ひとつ問題が起きました。
肥料のニオイです。
有機農業ですので、動物のウンチを肥料にするわけですが、このニオイが問題になったようです。
そのせいで、去っていく住民もいました。
住民が去っていくので、近隣の土地の値段も下がっていきました。
有機農業に理解のある住民は残りました。彼らは、この農園を応援するようになりました。CSA の始まりです。
すると、有機農業を応援したい人たちが近所に引越ししてくるようになりました。
「CSA は環境に優しい街づくりに貢献している」
ということで、農園のあるコミュニティのイメージが良くなり、さらに人口が増え、農園を訪れる観光客も増えました。
すると、土地の値段が上がりはじめました。
いまやアメリカでは、
「CSA がある街は土地の値段が上がる」
と言われるようになっていますとさ。
クサければクサいほどよい、という説もあるそうで…
農業や田舎暮らしに興味のある方は是非のぞいてみてください。
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