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食育の仕事をしてみたい人、必見!
人気「野菜ソムリエ」と「プロダクション・チーフ」が
食育の世界にご案内します。
◆◆◆
シニア・野菜ソムリエの遠山由美です。
このところ給食関連の仕事が多くなっています。
そこでこの話題です。
「9年間 毎日食べた給食は 僕の第2の オフクロの味」
どうです?この句。
先日開かれた静岡県内のある市の「給食展」で出会った句です。
中学3年生の男の子が詠んだこの句は
重労働で苦労している多くの調理員さん達をウルウルさせたそうです。
現代っ子もなかなかイイではありませんか。
戦後すぐの「粉ミルクとコッペパン」の時代から
(私は経験していません!念のため)
いつの時代も給食は子供たちの生活の重要な一部分です。
今この給食の世界のキーワード、何だかご存知ですか?
「地産地消」です。
今日取り上げる地産地消は、最近の使われ方
すなわち「地元でとれたものは地元で消費しよう」という考え方の
地産地消と解釈してください。
この言葉は
「自分の住む地域の三里?四里四方のものを食べていれば病気にならない」
という健康法のひとつとして語られることもありますし
地元で獲れた野菜は、ジェット燃料を使って長距離を運ぶ場合に比べて
環境負荷が少ない(こういうのをフードマイレージを考える、といいます)といった
環境保全の立場から語られることもあります。
また地元の野菜を作り続けることを応援し
その地独特の野菜を守ることで
その野菜を使って作られる郷土料理の保全につながるといった
伝統文化の面から語られることもあります。
今日はこれらの価値に加えて
地産地消の経済的価値について考えてみたいと思います。
少し前、支払い能力があるにもかかわらず
給食費を支払わない親がいる!!と大騒ぎになりましたが
みなさんは「給食1食分」のお値段て、ご存知ですか?
地域によって若干の差はあるもののだいたい230円位です。
これは純粋に「食材のみの値段」。
法律で給食費として徴収されるのは「食材費のみ」と決まっていますから
この額が親の負額になるわけです。
調理員さんのお給料や施設費、機材費、その他は税金でまかなわれます。
これらを全部足し合わせると「給食1食分は900円」前後ということになります。
サラリーマンのお父さんのお昼代が600?700円と言われていますから
金額的には子供の方が贅沢なんですねぇ。
ここでちょっと
街中で「900円のランチ」を食べることを想像してみてください。
そしてお宅の冷蔵庫に貼ってある「給食献立表」と見比べてみてください。
(どうでもいいことですが、風水的には冷蔵庫の前面に物を貼るのは
よくないのだそうですよ。側面ならOKとか。)
どちらの方が「豪勢」でしょうか。(豪勢って、死語…かしら?)
「給食って230円でこんな凄いのできるんだ」と思っていたあなた。
「給食って900円」という目で改めて見直してみてください。
「もうちょっと、いいもの出来そう…」と思いませんか?
給食の献立をつくる管理栄養士さんが悪い?
いえ、違います。
飲食店には、経営していく上でごく当たり前の考え方として
「食材原価率」というものがあります。
お料理の中で食材費が占める割合をいいます。
一般的には30%前後。
ファミリーレストランなど効率のいいところでは18%くらいで
40%をこえるようでは経営が成り立たないといわれています。
で、振り返って給食。
原価率を計算すると25.5%になります。
一般のお店のように
サービス用人員の人件費がかからないことを考えると
もっと食材の比率が高くてもいいはずですよね。
また別の見方をすれば
高級食材や幻の逸品が使われることもある一般のお店に比べて
給食で使われる食材はごく一般的なものですから
むしろ25.5%は高すぎる、ともいえるわけです。
ここには流通のカラクリがあります。
給食に食材を納品できるのはある特定の業者さんのみ。
「給食会」という組織を作っています。
この組織に属する業者さんが、公設市場から品物を買って学校に納入します。
公設市場から買うのですから、輸入品の可能性もあります。
が、「国産品は高くて使えから、輸入品でまかなっている」
と考えるには高額の食材費になっています。
いったい何の費用が上乗せされているのでしょうね。
一般の青果物でも同様のことがおきています。
皆さんが最終消費者として小売店さんに支払った金額。
そのうち、その作物を作った農家さんに支払われるのは
どれくらいだかご存知ですか?
わずか1/7に過ぎないのです。
(作物によってこの割合は変わりますので、平均するとこれくらい、と解釈してください)
流通業者さんが間に入ることには
たくさんのメリットがあるのも事実。
だから単純に中間マージンをなくせ!といっているわけではありません。
ただ、折角青果物のプロとして
流通に介入するのなら
「価値ある介入の仕方」をしていただきたいものだ、と思います。
例えば公設市場からばかり購入するのでなく
地元の農家さんのものを直接買い上げるとか。
そうすることで
その地域に住む住民が支払った給食費と税金が
地元の農家さんに落ちるわけです。
地元の活性化にもつながりますし
子供たちは「通学路の途中にある○○さんの畑のキャベツなんだ」
って知れば、食材への興味が湧きますよね。
自給自足ではないけれど
「家族」という単位を「地域」という単位に広げれば
「地域での自給自足」が完結することになります。
私は他国で獲れた食べ物は絶対に食べてはいけない
と考えるタイプの人間ではありません。
輸入品のバナナを食べることがあっても構わないし
土地柄に合わない作物は
他の地域から購入して構わないと思っています。
アボカドとかグレープフルーツとか大好きだし。
やっぱり食べたい。
ただ、お金にものをいわせて何でもかんでも外国で食べ物を安く買い叩く。
その結果、食べ物を生産した国の若い女性が
家族を養うために、女性として辛い労働を強いられる、なんて話をきくと
「自分達でまかなえるものは自分達でまかなえたらいいなぁ」
と思ってしまうのです。
中間マージンを減らして
浮いたお金を回していただきたいところがもう一箇所あります。
それは調理員さん達の人件費。
今でも時間に追われ大変な思いをなさっている調理員さん達。
地域でとれた野菜を使おうとすると
公設市場で扱っている野菜のように
規格の揃ったものだけ、というわけにはいかなくなります。
なぜか。
実は市場に出せるような規格品って
畑で取れる作物の5割程度しかありません。
規格が厳しいところは4割。
私が知っているある地域のある作物は
選別するのに人手をやめて機械にしたため選別が杓子定規になり
今や3割しか市場に出荷できなくなってしまいました
あとの7割をどうするか…
一部は産地直売所におろします。
また、一部はお漬物にしたりジャムにしたりして加工品にしますが
廃棄処分になるものもたくさんあります。
この数字からお分かりのように
一度にたくさんの量を必要とする給食現場において
地域でとれるものだけで食材を賄おうとすると
いきおい規格外の農産物も使わざるを得なくなります。
これで規格外品の一部が救われます。
よかった…
ただ調理員さんの手間は大変になり労働時間は長くなります。
もし地域に化学合成農薬を減らした栽培を試みている農家さんでもあれば
虫がついているかもしれません。
いつもより丁寧に洗浄して調理する必要がでてきます。
今より人手を増やさなければ、到底間に合いません。
食育というと
イベントを開くとか講師になる、とかといったイメージが多いのですが
給食の調理員さんになる
というのも子供たちの食育の場に参加することになります。
また子供たちにより充実した給食を提供するシステム作りに参加する
というのも食育に携わることになります。
ちょっと数字が多くて
堅苦しかったけれど
子供たちの笑顔に毎日直接触れることのできる
給食という食育の場がある、というお話でした。
長くなってしまったので、給食には色々な法律の壁があって
とっても奇妙なことがおきている、という話はまた今度にします。
あなたは
みかんを食べるとき、皮ごと茹でてから食べますか?
サラダを作るとき、レタスを熱湯に通しますか?
そんなお話しです。