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チーフの松宮園生です。
いきなりですけど、農業の関連でキューバの話をします。
キューバはカリブ海に浮かぶ島国です。
(地図です。虫眼鏡で見てください)
作家のヘミングウェイが好んだ国としても有名で、あと、葉巻なんかも知られています。
「キューバ危機」というのがありました。
アメリカ合衆国とソビエト連邦が、もうちょっとで核戦争、というところまでモメたことがあります。
半世紀近く前の話です。
キューバで一番エライ人はカストロという人です。
こんな濃ゆい顔してます(左側の人)。
キューバは有機農業の国です。
サトウキビ、パイナップル、バナナ、マンゴーなどが作られています。
数年前、僕はこの国に農業探検に行きました。
何しに行ったかというと…
地中海ミバエ、という名前の昆虫がいます。
ハエの一種です。
日本にはいません(いないはずです)。
地中海ミバエはマンゴーに卵を産んだりします。
卵が日本に入ってくるのを恐れる日本の政府は、「地中海ミバエのいる国」からのマンゴーの輸入を禁止しています。
たとえばインドはマンゴー王国です。マンゴーのなかでも王様と言われるアルフォンソ・マンゴーが豊富にとれる国です。
しかし日本政府から「地中海ミバエのいる国」という扱いをされていたため、日本にインドのマンゴーが輸入されることは最近までありませんでした(去年、解禁されましたが)。
島国キューバには地中海ミバエがいません。
しかもキューバはカンペキな有機農業の国です。
それで、キューバのマンゴーは日本人に喜ばれました。
キューバ人はせっせと、マンゴーを日本に輸出していたのです。
ところがある日のこと、キューバのマンゴー輸出会社から日本の果物輸入会社にメールが来ました。
「日本の皆様ゴメンナサイ。政府の命令で、来年からマンゴーの輸出ができなくなりました」
と、そのメールには書いてありました。
さあ大変です。
マンゴーが輸出禁止!
キューバのマンゴーは日本で人気があったので、突然の禁止で果物業界は大騒ぎになりました。
しかし一方で、果物業界の人々は首をかしげました。
今回の禁止令は、
「輸入する側の日本」が出したものではなく、
「輸出する側のキューバ」が出したものでした。
キューバはマンゴーを輸出して外貨を稼いでいます。
つまり、キューバは基本的にはマンゴーを輸出したいはずです。
なぜ、「外貨を稼ぎたい」キューバが、自国のマンゴーの輸出禁止令を出すのでしょうか?
誰にも分かりませんでした。
不思議なことに、メールを送ってきたキューバの会社も、その質問に答えることができませんでした。
「政府の命令だから」
この一点張りでした。
果物業界の人々は、今度はキューバ大使館に出かけて同じ質問をしました。
大使館も応えられませんでした。
「本国の命令だから」
この一点張りでした。
このころ僕は貿易会社の下請けのようなことをしていましたが、仕事がなくてヒマで今より貧乏をしていました。
そんなある日、果物会社のオニイサンが僕の事務所にずかずかとやってきて、こう言いました。
「あんた、おれと一緒にキューバに行ってくれないか。キューバの政府と話して、マンゴーの輸出禁止令を解除してもらおうと思う」
「へ? キューバ? 行ったことないスけど…」
「いいんだよ。オレも行ったことないんだから。まあとにかく行こう。きっと美人がうじゃうじゃいるぞ」
というわけで、僕は動機不純なこのオニイサンのおともでキューバ農業探検に行くことになったのです。
(次回 その2 に続く)